箱根駅伝の2区は「エース区間」と呼ばれ、各大学が最も力のある選手を配置する区間として知られています。
しかし、2区での好走は本当に総合順位に直結しているのでしょうか。
本記事では、過去10大会(第92回~第101回)を対象に、2区区間順位や2区終了時点(戸塚中継所)での順位・タイム差と総合順位との関係をデータから分析していきます。
分析対象とデータについて
本記事では、第92回大会から第101回大会までの10大会を対象とし、各大学の以下のデータを使用しました。
・2区区間順位
・1区終了時(鶴見中継所)での順位およびトップとの差
・2区終了時(戸塚中継所)での順位およびトップとの差
・総合順位
データはいずれも日テレ箱根駅伝公式サイトの大会結果をもとに整理しています。https://www.ntv.co.jp/hakone/
補足
なお、本分析は順位データを用いたもので、厳密な因果関係を示すものではなく、
傾向を確認する目的で行っています。
2区区間順位と総合順位の関係
散布図による確認
まず、2区区間順位と総合順位の関係を散布図で示します。順位は数値が小さいほど上位であるため、散布図では左下に位置するほど順位が良いことになります。
回帰分析と相関
回帰直線は y = 0.5115x + 5.2709 となり、決定係数は0.2627となりました。
また、相関係数は0.51と、中程度の正の相関が見られます。
この結果から、2区区間順位と総合順位には一定の関係があるものの、2区の走りだけで総合順位が決まるわけではないことが分かります。
2区終了時(戸塚中継所)での順位と総合順位
次に、2区終了時点である戸塚中継所での順位と総合順位の関係を確認してみます。
回帰直線は y = 0.6x + 4.3098 となり、決定係数は0.36と、2区区間順位のみを用いた場合より高い値となりました。
この結果から、2区の区間順位そのものよりも、2区終了時点でどの順位に位置しているかの方が、総合順位との関係が強いことが分かりました。
2区での順位変動・タイム差変動は影響するのか
順位変動(鶴見→戸塚)
鶴見中継所から戸塚中継所までの順位変動と総合順位の関係を確認したところ、
決定係数は0.014と、ほとんど相関は見られませんでした。
このことから、2区でどれだけ順位を上げたかという「順位変動」そのものは、
最終的な総合順位には直接結びつきにくいことが示唆されます。
タイム差変動(鶴見→戸塚)
一方で、トップとの差の変動量と総合順位を比較すると、決定係数は0.247となり、
順位変動よりは一定の関係が見られました。
順位の変化よりも、どれだけタイム差を詰めたかという点の方が、その後のレース展開に影響を与えている可能性があります。
重回帰分析による補足的な確認
補足として、2区区間順位と戸塚での順位(またはトップとの差)を同時に説明変数とする重回帰分析を行ってみました。
その結果、重決定係数は約0.36となり、単独の指標のみを用いた場合よりも説明力が向上した結果となりました。
係数を見ると、2区区間順位そのものよりも、戸塚での順位の影響が大きい結果となっています。
考察|2区は何を決めている区間なのか
以上の分析結果から、2区は単独で総合順位を決定づける区間ではないものの、
レース前半の順位構造を形成する上で極めて重要な役割を担っていることが分かります。
特に、2区終了時点での位置取りは、その後の区間で大きく覆されにくく、最終的な総合順位にも一定程度反映されやすい傾向が見られます。
まとめ
本記事では、箱根駅伝のエース区間である2区に着目し、区間順位や2区終了時点での順位・タイム差と総合順位との関係を分析しました。
2区は「エース区間」と呼ばれるにふさわしく、レース前半の流れを作る重要な区間である一方、それだけで勝敗が決まるわけではないことも確認することができました。
次回予告
箱根駅伝では「箱根を制する者は山を制す」とも言われます。
次回は、5区(山登り)と6区(山下り)の合計タイムと総合順位の関係をデータから分析していきたいと思っています。




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