第102回箱根駅伝で、総合2位となった國學院大学。
近年は出雲駅伝や全日本駅伝で優勝するなど、三大駅伝で存在感を増してきています。
しかし、箱根駅伝ではここ数年優勝候補に名前を挙げられながら、優勝まで届かない状態が続いています。
國學院大學はいま、どの位置にいるのか?
近年の箱根駅伝において、國學院大学は完全に「上位校の一角」へと定着してきました。
総合順位は安定しており、往路・復路ともに大崩れする大会はほとんど見られなくなりました。
かつての「シード争いを目標とする大学」から、「上位を争う大学」へと明確に段階を上げたことは間違いないと思います。
一方で、現実として「優勝争いの最終局面まで残り続けたか」と問われると、答えはやや曖昧にならざるを得ません。
強い。だが、箱根駅伝では優勝まで手が届きそうで届かない。というのが現状です。
本記事では、
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平均区間順位とワースト区間順位
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優勝校との平均区間順位比較
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山(5・6区)合計タイムの推移
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各区間平均タイムの水準比較
という4つの視点から、國學院大学がなぜ「優勝目前」で止まっているのかをデータで掘り下げていきます。
平均区間順位とワースト区間順位が示す「構造的な安定」
最初に、平均区間順位とワースト区間順位の比較グラフ見ていきましょう。
このグラフから読み取れる最大の特徴は、國學院大学は「一度の失敗で大会を壊すタイプのチームではない」ということです。
平均区間順位の分布
各区間の平均順位は、ほぼすべての区間で6位〜12位に収まっています。
極端に悪い区間は存在せず、10区間を通じて大きな凹凸がないことが分かります。
これは、
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区間配置の再現性が高い
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選手層に一定の厚みがある
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「最低限走れる選手」を各区間に配置できている
ことを意味します。
ワースト区間順位が示す限界点
一方で、ワースト区間順位に目を向けると、毎年どこかの区間で区間15位より下の区間順位があることも見て取れます。
重要なのは、その「落ちる区間」が毎年固定されていない点です。
つまり國學院は、特定区間に明確な弱点があるわけではないですが、「全区間において“優勝水準の余裕”がない」構造こそが、「安定して上位だが、突き抜けない」原因になっていると考えられます。
優勝校との平均区間順位比較で見える“質の差”
次に、國學院大学と優勝校の平均区間順位の比較グラフを見ていきましょう。ここでは、「安定しているか」ではなく、「優勝校とどれだけ差があるか」が焦点になります。
往路・復路ともに存在する順位差
往路・復路いずれにおいても、國學院大学の平均区間順位は優勝校より明確に後ろに位置していることが分かります。
優勝校は、多少の凸凹はあるにせよ、総合・往路・復路ともに平均区間順位は5位程度を維持しています。
一方、國學院大学は、徐々に平均区間順位が安定してきているものの、優勝校には及ばない状態であった。しかし、第102回大会では2位ではあったものの、優勝した青山学院大学より、総合10区間と往路での平均区間順位上回ることができました。
優勝は逃したものの、近年安定して強さを発揮している青山学院大学を区間平均順位で上回る結果となり、今後の國學院大学としては明るい材料でしょう。
山合計タイム比較が示す「勝負を分ける特殊区間」
箱根駅伝において、山(5・6区)は依然として最重要の特殊区間となっています。
國學院大学と優勝校の山合計タイム推移を見ると、この差は非常に明確になっています。
差は殆ど縮まっていない
過去5大会において、國學院大学の山合計タイムは常に優勝校より遅れています。
しかもその差は、一時的なものではなく、ほぼ毎年一定以上存在しています。
これは重要なポイントで、「その年たまたま山が弱かった」では説明できません。
山が「敗因」であり続けている現実
國學院大学は、山で致命的に崩壊するような大学ではありません。
しかし、
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優勝校が山で流れを決める
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國學院は「耐える側」に回る
この構図が固定化しているような状況です。
優勝争いにおいては、「耐える」だけでは足りません。
山で主導権を握れない限り、國學院大学が総合優勝に届く確率は大きく下がります。
優勝の条件でもある、山区間の合計タイムが2時間11分以内を記録したのも、過去5年では今回の102回大会のみです。
山区間合計タイムで安定して2時間11分以内を記録することが、今後総合優勝を狙うにあたって重要になってきます。
※山区間合計タイムに関する考察記事をこちらで公開しています。
平均区間タイム水準が示す「埋めるべき秒数」
最後に、各区間平均タイムと、区間10位平均・優勝校タイム・大学記録との比較グラフを見ていきます。
このグラフは、國學院大学の「現在地」を最も具体的に示しています。
区間10位平均はほぼ上回っている
まず評価すべき点として、國學院大学の平均区間タイムはほぼすべての区間で区間10位平均を上回っています。
これは、
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下位に沈む危険性が低い
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チームとしての基礎体力が高い
ことを示しており、上位校としての土台はすでに完成しています。
優勝校タイムとの差が残る区間
一方で、優勝校の区間タイムと比較すると、全体的に30秒〜1分前後の差が存在する区間があります。
特に、
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5区
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6区
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復路後半(9・10区)
では、この差がより大きく、「この区間で勝負を決められている」ことがはっきり分かります。
大学記録が示す“可能性”
大学記録の棒グラフを見ると、國學院大学には優勝校水準に近い、あるいはそれを上回るポテンシャルが存在する区間もあります。
つまり問題は、能力そのものではなく、それを「本番で10区間揃えて出せていない」点にあります。
卒業する主力と新入生を踏まえた今後
戦力の入れ替わりを考えると、國學院大学は転換点に立っています。
卒業する主力選手
卒業する主力は、1区で区間新記録を叩き出した青木瑠郁選手、2区を走った上原琉翔選手、7区区間賞の高山豪起選手の3名です。
彼ら3名は、
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安定して区間順位をまとめられる選手
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大崩れしない計算できる存在
であり、「安定型チーム」を支えてきた屋台骨でもありました。
新入生に求められる役割
一方、新入生は、5000m13分台の記録を持つ選手が五十嵐選手(水城/茨城)、工藤選手・山本選手(両名とも青森山田/青森)や、持ちタイムは14分20秒台ながら都道府県対抗男子駅伝でも好走した山脇選手(西武台千葉/千葉)など、多くの有力選手が入学予定です。
彼らを「安全運転の一員」にしてしまえば、國學院は現状維持に留まってしまいます。
しかし、山や復路で勝負を任せる存在として育てられれば、チームがさらに上の段階へと成長すると思います。
残るメンバーも強力
残るメンバーも、出雲や全日本で留学生ランナーと互角以上の走りを見せた野中選手や、安定している辻原選手、山登りを4年間任せられそうな高石選手やOBの平林選手を超える9区のタイムを叩き出した野田選手など、強い選手が残ります。
結論|國學院大学に足りない“最後のピース”
データが示す結論は、極めて明確です。
國學院大学は
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安定している
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上位には来る
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崩れにくい
しかし、優勝校が必ず持っている「勝負を決める区間」を持っていません。
山で主導権を握ること。復路で一気に差を詰め、あるいは広げること。
野中選手や辻原選手、高石選手、野田選手あたりがいわゆる「勝負を決める区間」を担うポテンシャルは十分に持っています。
このどちらか、もしくは両方を実現できたとき、國學院大学は「優勝争いに絡む大学」から「総合優勝ができる大学」へと変わっていくでしょう。
安定の先へ。國學院大学の挑戦は、いままさにその入口に立っていると言えるでしょう。
データ・画像の引用元
本記事で使用したデータは、関東学生競技連盟の箱根駅伝公式Webサイトを使用しています。
また、記事中の写真は第102回東京箱根間往復大学駅伝競走 関連報道写真を引用しています。






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