駒澤大学はいま、どの位置にいるのか
箱根駅伝において、駒澤大学は「平成の常勝軍団」と呼ばれ、「常に優勝候補」として扱われてきた大学です。
優勝・準優勝を繰り返し、総合順位が大きく崩れる年は殆どありませんでした。
しかし直近の大会では、「勝てそうで勝てない」あるいは「本来の区間配置が組めていない」という印象が色濃く残りました。
その最大の理由が、直前期の調整の失敗や故障者続出です。
本記事では、
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主力4人が同時に卒業した過去の事例
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現在の区間順位・タイム水準
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今後の世代構成
を照らし合わせながら、駒澤大学が再び総合優勝に到達するための
「区間別ピース」を明確にしていきます。
平均区間順位とワースト区間順位が示す「土台の強さ」
まず、平均区間順位とワースト区間順位の比較を確認していきます。
平均区間順位は依然として最上位クラス
過去10大会の平均区間順位を見ると、駒澤大学は全区間で10位以内を維持しています。
これは、
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世代が変わっても
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メンバーが入れ替わっても
チーム全体の水準が落ちていないことを示しています。
今まで比較対象としてきた他大学と比べても、この安定度は群を抜いています。
ワースト区間順位が示す「例外的な年」
一方で、ワースト区間順位を見ると、直近数大会で特定区間が大きく沈んだ年が存在します。
ここで重要なのは、
その原因が
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恒常的な弱点
ではなく -
直前期の故障・配置変更
によるものだという点です。
つまり、駒澤大学は構造的に弱くなったわけではありません。
優勝校との平均区間順位比較で見える「ズレ」
次に、優勝校との平均区間順位比較を見ていきます。
ここで浮かび上がるのは、駒澤大学が第97回大会以降は多くの区間で優勝校とほぼ同水準にあるという事実です。
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大きく離される区間は少ない
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1〜2順位差で踏みとどまっている
これは、「戦力差で負けている」のではなく、「勝負所の噛み合わせ」で後れを取っている可能性を示唆しています。
山合計タイム比較が示す「勝敗を分ける区間」
箱根駅伝において、駒澤大学が勝つ年と勝てない年を分ける最大の要素は、今も昔も「山(5・6区)」です。
山が機能した年は、ほぼ例外なく優勝
過去の優勝大会を振り返ると、駒澤大学は
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山で主導権を握る
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あるいは少なくとも互角以上
という展開を必ず作っています。
機能しなかった年の共通点
一方で、直近の勝てなかった年を見ると、
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山要員の故障や調整不足
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急遽の区間変更
によって、本来想定していた山の形を作れていないケースが目立ちます。
山は「代替が効かない区間」である以上、ここが噛み合わなければ常勝軍団でも勝ち切れません。
平均区間タイム水準が示す「優勝可能性」
次に、各区間平均タイムと、区間10位平均・優勝校タイム・大学記録との比較
を見ていきます。
区間10位水準は完全にクリア
駒澤大学の平均区間タイムは、全区間で区間10位平均を明確に上回っています。
これは、
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シード争いとはほぼ無縁
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優勝争いに参加する資格を常に持つ
チームであることを示しています。
優勝校との差は「詰められる範囲」
優勝校の区間タイムとの差を見ると、多くの区間で30秒~1分程度に収まっています。
これは、配置と状態が噛み合えば十分に逆転可能な差です。
しかし、駒澤大学が優勝をしていた頃は、4区・8区・9区が特に強かったのですが、最近はこの3区間が優勝校の平均タイムから大きく引き離されているのが現状です。
特に4区は、現監督である藤田敦史氏の大学記録が四半世紀経った今でも残り続けている状態は改善の必要があります。
大学記録が示す「次の可能性」
大学記録の水準を見ると、現有戦力の中にも優勝校水準を超え得るポテンシャルが存在します。
つまり、問題は能力ではなく、それを「10区間揃えて出せるか」に尽きます。
過去事例:強い世代の大量卒業後はどうだったか
ここで、駒澤大学が過去に主力が同時に卒業した世代を振り返ります。
第102回で4年生の主力であった山川・佐藤・伊藤・帰山が卒業するにあたり、過去の事例と比較してどうだったかを振り返りたいと思います。
第86回:宇賀地(現コニカミノルタ監督)、深津(現旭化成コーチ)、高林(現立教大監督)、星(前富士通)
第89回:撹上(前コニカミノルタ)、上野(前Honda)、千葉(現駒澤大コーチ)、久我(前富士通)、後藤田(現ラフィネアドバイザー)
が卒業した後、駒澤大学は一時的に順位を落としたこともありました。
しかしその後、
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山要員の再構築
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エースの再定義
- 指導陣側の意識改革
を経て、再び優勝争いに戻ってきました。
重要なのは、この回復が「偶然」ではなかった点です。
現在の駒澤大学に必要な区間別ピース
ここから、今後の駒澤大学に必要なピースを区間別に整理していきます。
ピース①:山を任せ切れる絶対的要員
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5区または6区で
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区間一桁前半を狙える存在
これが一人確立できれば、チーム全体の設計が一気に安定します。
ピース②:復路で流れを作れる選手
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7・8・9区で
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区間上位を狙える加速役
ここで20秒動かせるかどうかが、優勝するためにキーとなります。
ピース③:10区を締められる主将級ランナー
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派手さは不要
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崩れない
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プレッシャー耐性が高い
この役割が埋まれば、勝負はほぼ五分に持ち込めます。
結論|駒澤大学は「再構築の途上」にある
データが示す結論は明確です。
駒澤大学は、
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土台はまったく崩れていない
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戦力も優勝水準にある
それでも勝てなかったのは、直前期のトラブルによって「勝ちパターン」を再現できなかったからに過ぎません。
主力4人が抜けた今、再び同じ問いが突きつけられています。
山・復路・締め。
この3点をどう再構築するか。それに成功したとき、駒澤大学は再び「常勝軍団」として箱根駅伝の頂点に立つでしょう。
データ・画像の引用元
本記事で使用したデータは、関東学生競技連盟の箱根駅伝公式Webサイトを使用しています。
また、記事中の写真は第102回東京箱根間往復大学駅伝競走 関連報道写真を引用しています。






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