箱根駅伝は「流れの競技」と言われますが、その流れは本当にデータから読み取れるのでしょうか。
本記事では、第102回箱根駅伝をデータ分析の視点から振り返り、往路型・復路型などという事前評価が結果にどこまで反映されたのかを検証します。
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各大学は「往路型」か「復路型」か
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エース区間2区の重要性は結果に反映されたのか
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山区間(5区・6区)の強さは総合順位に直結したのか
データ分析と実結果を照らし合わせながら、箱根駅伝の構造を改めて考察していきます。
本記事は結果の良し悪しを評価するものではなく、箱根駅伝を「データという視点」で捉えた場合に、どの分析が有効だったのかを整理することを目的としています。
なお、各区間の公式記録は、箱根駅伝公式サイトおよび日本テレビの大会データを参照しています。
東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト
日本テレビ | 箱根駅伝
検証①:往路型・復路型という事前評価は妥当だったのか
使用データ
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総合順位
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往路順位
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復路順位
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事前に算出した「往路型・復路型・バランス型」
結果から見た分析の妥当性
事前分析では、各大学を
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往路型
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復路型
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バランス型
の3タイプに分類しました。
往路型か?復路型か?については、以下の記事で詳しく分析しています。
▶【箱根駅伝データ分析】往路型?復路型?山区間の強さをデータで可視化する
結果から見た傾向の検証
実際の結果を見ると、
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往路型と評価した大学でシード権内の大学は、往路上位を維持
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復路型の大学は、復路での巻き返しにより順位を上げるケースも見られた
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一方で、バランス型と評価し上位に入った大学は少々の凸凹はあるが大きな崩れが少ない
という傾向が確認できます。
事前の分析では「往路型」の結果となっていた國學院大學や順天堂大学が復路で順位を上げているため、今後はより細やかな分析が必要になってくると考えています。さらに、順天堂大学に関しては、かつては「復路の順大」「逆転の順大」と言われていましたので、その復活がなったのか、引き続きデータから確認していきたいと思います。
検証②:エース区間2区の分析は生きたのか
エース区間2区は「区間順位」か「通過順位」か
過去データの分析では、2区の区間順位と総合順位には中程度の相関が見られました。
2区で大きく遅れた場合、総合順位を大きく押し上げるのは難しくなる一方で、2区で好走した大学は、その後のレースを有利に進めやすい傾向がありました。
エース区間である2区については、以下の記事で詳しく分析しています。
▶︎ 箱根駅伝のエース区間2区の結果と総合順位の考察
使用データ
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総合順位
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往路順位
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2区区間順位
エース区間2区の区間順位の結果から見た総合順位
2区区間順位が上位(区間5位以内)だった大学は、
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1区で多少出遅れていても、2区で総合順位を押し上げている
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特にシード権内の大学では、2区での大崩れ(区間10位より下の区間順位)がほとんど見られない
第102回大会を振り返ると、2区で好走した大学の多くが、最終的にも上位に名を連ねています。
一方で、総合優勝した青山学院大学や往路17位からシード権を獲得した帝京大学のように、2区の成績がもう一つでも、その後の区間で挽回し、最終的に順位を上げたケースも見られました。
この結果から、2区は「それだけで勝敗を決める区間」ではないものの、レース全体の前提条件を作る重要な区間であるという、事前分析の整理は概ね妥当だったと考えられます。
検証③:往路順位・復路順位と総合順位の関係を振り返る
使用データ
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総合順位
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往路順位
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復路順位
往路順位の重要性
過去データでは、復路順位よりも往路順位の方が、総合順位との相関が強い傾向が確認されていました。そのため、往路終了時点での位置取りが、その後のレース展開に大きく影響することを示していました。
第102回大会においても、往路終了時点で上位につけていた大学は、復路に入っても大きく順位を落とすことなくレースを進めていました。
復路で順位を動かせた大学・動かせなかった大学
一方で、復路での順位変動がまったく起きなかったわけではありません。往路で出遅れていても実際に復路で順位を上げたケースも確認できます。
ただし、往路で大きなビハインドを背負った場合、その差を復路だけで埋めるのは容易ではなく、復路は逆転のチャンスであると同時に、往路の位置取りに強く依存する区間であることが、改めて示された結果になりました。そういった意味でも、今回の帝京大学の往路17位からのシード権獲得は特筆すべきものかと思います。
検証④:山区間(5区・6区)の分析は当たっていたか
使用データ
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総合順位
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5区順位
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6区順位
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山合計順位
- 山合計タイム
山が総合順位に与える影響
事前分析では、5区・6区の合計タイムと総合順位には一定の関係があり、特に優勝校は、山区間の合計タイムが一定水準以内に収まる傾向があることが分かっていました。
つまり、山区間は一度の失敗が大きなロスにつながりやすく、「大きく崩れないこと」が重要な区間です。
山区間については、以下の記事で詳しく分析しています。
▶【箱根駅伝データ分析】箱根駅伝の山区間5区・6区の合計タイムと総合順位の考察
第102回大会での山の結果
第102回大会でも、山区間で安定した走りを見せた大学がこぞってシード権を獲得する結果となりました。
特に第102回大会の場合は5区山登りでの区間順位が総合順位やシード権を大きく左右する結果となりました。
また、総合優勝した青山学院大学の山合計タイムが2:04:31と、事前分析で目安としていた2:11:00以内を大きくクリアしています。黒田朝日選手の爆走がクローズアップされましたが、まさに「山を制する者は箱根を制す」の格言に沿った結果になりました。
この点においても、山区間の重要性を指摘した事前分析は、概ね妥当だったと考えられます。
事前データ分析で見えたこと・見えなかったこと
データ分析が有効だった点
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大学を「往路型」「復路型」「山区間の強さ」で分類する視点
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山区間の合計タイムという指標
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単一区間ではなく、複数要素の積み重ねとしてレースを見る考え方
これらは、第102回大会を振り返る上でも有効な視点でした。
データだけでは説明できなかった点
一方で、当日の天候や選手のコンディション、区間配置、レース展開といった要素は、データだけでは完全に説明しきれない部分でもあります。
箱根駅伝が「数字だけでは語れない」側面を持つことも、改めて実感させられます。
今回の結果から見える「箱根駅伝の構造」
第102回大会の結果を踏まえると、箱根駅伝は単独の区間で決まるレースではなく、往路・山・復路の積み重ねで決まるという構造が、より明確になったと思います。
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2区で大きく崩れない
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往路で一定の位置を確保する
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山で致命的なロスを避ける
これらが揃って初めて、復路で勝負が可能になると感じました。
まとめ
本記事では、第102回箱根駅伝の結果をもとに、事前に行ってきたデータ分析の答え合わせを行いました。
事前分析は、結果を完全に予測するものではないですが、レースを理解し、結果を解釈するための有効な視点になるのではと感じます。
本ブログでは、箱根駅伝に限らず、スポーツを「見る」だけでなく、「考える」楽しさを、今後もデータという切り口から深めていきたいと思います。






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