過去10年の総合順位と往路・復路順位の相関関係を検証

箱根駅伝データ分析

往路でのリードは、そのまま総合優勝に直結するのか?

箱根駅伝において、往路優勝することは、総合優勝を勝ち取るための最大の条件のように思えます。一方で、選手層の厚さが試される復路での逆転劇も多く、最終的には「総合力」が勝敗を分けるという声も根強くあります。

果たして、往路順位はどの程度、最終的な総合順位を左右しているのでしょうか。本記事では、過去10年のデータを活用し、往路・復路それぞれの順位と総合順位の相関関係を分析。数字の面から「箱根駅伝の勝ち筋」を検証していきます。

分析対象

・対象大会:過去10年の箱根駅伝
・対象校:各大会の全出場校
・使用指標:総合順位、往路順位、復路順位

データの出典

本記事で使用したデータは、箱根駅伝公式サイトに掲載されている
大会結果・記録をもとに整理しました。

東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト|関東学生陸上競技連盟
箱根駅伝の速報・公式情報、交通規制関連情報、過去の成績・選手監督情報の検索、関東学連メンバーの日記等、公式情報全般を発信しています。

過去10年の順位データ一覧

まずは、過去10年分(2015年~2025年)の箱根駅伝における
総合順位・往路順位・復路順位を一覧で整理します。

※以下の表では、各大会のシード権獲得順位までを整理しています。相関分析自体は全出場校のデータを用いて行っています。

【2015〜2018】
 

   

【2019〜2022】
   

 

   

【2023〜2025】
   

総合順位と往路順位の相関関係

次に、総合順位と往路順位の関係を見ていきます。
一般的に往路の結果が重要視される箱根駅伝ですが、
実際のデータではどの程度の相関が見られるのでしょうか。

補足:今回使用している分析手法について

本記事では、順位データの関係性を確認するために、
散布図・回帰直線・決定係数(R²)・相関係数といった統計手法を用いています。

これらは難しい統計手法ではなく、「2つの順位がどの程度一緒に動いているか」を
視覚的・定量的に確認するためのものです。

散布図とは?

散布図とは、2つの数値の組み合わせを点として並べたグラフのことです。
本記事では、横軸に往路(または復路)順位、縦軸に総合順位を取り、各大学の成績をプロットしています。

点が右上がりに並ぶほど、「往路(復路)の順位が良いほど総合順位も良い」
という関係が強いことを意味します。

回帰直線とは?

回帰直線は、散布図に並んだ点の傾向を一本の線で表したもので、全体としてどのような関係があるかを示す目安となります。

本記事では、この直線を用いて、往路・復路順位が総合順位にどのような影響を与えているかを確認しています。

決定係数(R²)とは?

決定係数(R²)は、回帰直線がどの程度データを説明できているかを示す指標で、
0から1の間の値を取ります。

値が1に近いほど、「この直線で総合順位の傾向をよく説明できている」ことを意味します。

本記事では、R²の大小を用いて、往路順位と復路順位のどちらが総合順位とより強い関係を持っているかを比較しています。

相関係数とは?

本記事では、往路順位・復路順位と総合順位の関係を確認するために、相関係数という指標を用いています。

相関係数は、2つの数値がどの程度同じ方向に動いているかを示すもので、値は −1 から 1 の間になります。
本記事で扱っている順位データの場合、値が 1 に近いほど「一方の順位が良いほど、もう一方の順位も良い」という関係が強いことを意味します。

ただし、相関係数が高いからといって、必ずしも一方が原因で他方が結果であることを示すわけではありません。あくまで「順位の動き方にどの程度の一貫性があるか」を確認するための指標です。

総合順位と復路順位の相関関係

続いて、総合順位と復路順位の相関関係を確認します。
復路は順位変動が起こりやすいとされる一方で、
総合順位との関係性も重要な視点となります。

往路と復路、どちらが総合順位に影響しているのか?

往路順位・復路順位と総合順位の散布図を比較すると、
いずれも右上がりの傾向が見られ、両者とも総合順位と強い関係を持っていることが分かります。

ただし、回帰直線と決定係数(R²)を見ると、往路順位の方が総合順位との関係がやや強い結果となりました。

往路の回帰式:y = 0.8863x + 1.2224、R² = 0.7855、
復路の回帰式:y = 0.8641x + 1.4606、R² = 0.7467
いずれも高い値ではあるものの、往路の方が説明力が高い状態です。

このことから、過去10年の箱根駅伝においては、往路の順位が総合順位の「土台」を作りやすく、復路はその差を広げる、あるいは詰める役割を担っていると考えられます。

復路順位も総合順位に一定の影響を与えているものの、往路と比較すると、その影響はやや不安定であり、往路で大きく出遅れた場合、復路のみで流れを覆すのは容易ではないことが、散布図の分布からも読み取れます。

このことから、往路は総合順位のベースを作りやすい区間である一方、
復路も安定した走りが求められる重要な要素であると考えられます。

相関関係の年次推移から見る変化

次に、総合順位と往路順位・復路順位の相関関係が、年ごとにどのように変化してきたかを確認していきます。

相関係数の年次推移を見ると、近年は総合順位と往路順位の相関が、復路順位との相関を上回る年が続いています。
特に2022年(第98回)大会以降では、その差がより明確になっていることが分かります。

この結果は、近年の箱根駅伝において、往路の結果が総合順位に与える影響が相対的に大きくなっている可能性を示唆しています。
一方で、復路の相関が消えているわけではなく、復路も依然として重要な要素であることには変わりないことが分かります。

ただし、復路のみで大会の流れを大きく変えるケースは、データ上は以前ほど目立たなくなってきているように見えます。

実際の大会結果から見る「往路優勝=総合優勝」の傾向

相関分析に加えて、実際の大会結果からも傾向を確認してみました。

直近10年では、往路優勝した大学がそのまま総合優勝するケースが7回あり、
往路優勝=総合優勝となる確率は約70%となっています。

さらに過去30年を振り返ると、
復路で逆転して総合優勝したケースは
1995年〜2004年(第71回~第80回)に7回、
2005年〜2014年(第81回~第90回)に4回、
2015年〜2024年(第91回~第101回)に3回と、明確な減少傾向が見られます。

この結果から、近年の箱根駅伝では、
往路で作られた順位構造が総合順位に反映されやすくなっている可能性が考えられます。

まとめ

本記事では、過去10年の箱根駅伝データをもとに、
総合順位と往路・復路順位の相関関係を整理しました。

・往路順位・復路順位ともに総合順位と強い相関がある
・ただし近年は往路順位の影響が相対的に大きくなっている
・実際の大会結果を見ても、往路優勝が総合優勝につながる確率は上昇傾向にある

往路優勝することは、総合優勝を勝ち取るための近道であることは、
データの面から見ても一定の裏付けを持ちつつあると言えそうです。

次回は、エース区間とされる2区の区間順位と総合順位の関係について、
同様にデータから検証していきます。

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